リリーフランキーの怪演極まる『野火』感想

近年稀に見る邦画に出会った気分です

アイドルとか棒読み大根芸人とかが持て囃されている昨今の国内映画ですが、今回観た、塚本晋也主演・監督・脚本の『野火』は、カメラワークも内容も演技も、全てにおいて突出してたと思います。
流石、ベネチア映画祭でスタンディングオベーション喝采されただけありますね。

私は深夜に
・部屋真っ暗にして
ヘッドホンをつけて
・大画面を近めに
して観ましたが、90分があっという間に過ぎました。これには本当に驚き。

場面が次々と変わるのもありましたが、終わった瞬間に「え?もう終わり?続きみてぇぇぇ!」てなりました。

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映画「野火」制作:全部オレ

監督は塚本晋也さん。
主演は塚本晋也さん。
脚本は塚本晋也さん。
出資は塚本晋也さん。

つまり全部、一人でやっちゃった系の自主制作映画に近いスタイルのモノ。
凄いですよね。もう結構ご年配なんですよ、塚本晋也さん。
このアグレッシブさとエネルギーはどこから出てくるんだろう(笑)

リリーフランキーさんが助演として出てきますが、この役回りがまた凄い!
今までに観たことのないような表情、立ち回り、発声で、本当に怪演という言葉が適しているような、ビックリするくらいの演技を見せてくれました。
リリーフランキーさん、本当にすごい。
リリーフランキーさんと森優作さんが同じシーンで長時間共演しますが、森優作さんの後半の演技も中々狂気じみてました。素晴らしい!

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野火のテーマは「人間性をどこまで保てるか」

映画の内容自体は、太平洋戦争末期のフィリピン、レイテ島での出来事を生々しく描写したもの。敗戦が濃厚になってきた、撤退と移動を繰り返す日本兵の物語。

生い茂った深いジャングルの中で、暑さと渇きと飢えに苦しむ、極限状態に陥った日本兵が、生き残るために食料を探し、住民を殺して奪い、仲間同士で殺し合い、人肉を食わざるを得なくなった状況を、本当に生々しく描いています。

近年の邦画では「アイアムアヒーロー」がなかなかのグロ描写でしたが、この「野火」はそれ以上でしょう。

少なくとも私の感覚では上回ってました。
日夜ゾンビモノを愛してやまない私はグロ耐性がかなり付いてますが、それでも「ぅゎ〜…」となる場面がチラホラありました(笑)

実際の戦争は、本当にこれ以上のモノなんでしょうね。そう考えると、なんとも言えない気分になります。

反戦がテーマの様ですが、これはそもそも戦争映画なのか?という感じです。
カメラワークが独特で、物語の進め方もかなり独自の手法で撮られているので、気がついたら「自分がレイテ島に居て日本兵の視点と同化している」感じがします。
まるでVRです。これには本当に驚きました。

ストーリーは本当に淡々と進んでいく為、近代史をあまり知らない方が観られると、前後の史実や背景が解りづらいので難しいかも知れません。

この「野火」は本当に素晴らしい映画です。
私はかなりの本数の映画を観てきましたが、間違いなく上位に食い込みました。

今ならAmazonプライムで観れるので、もし興味がある方はご覧になってください。
間違いなく「衝撃」を受けますよ。