触れたら凍ってしまう・・・極寒の海に現れる死のつらら”ブライニクル”

氷柱・・・つららは、冬の軒下に気づいたらできているもの。

寒い地域の方にとっては、危険でやっかいな物でしょう。つららは円柱状の氷ですが、極寒の海中に現れる生物の命を奪う死のつららがあるのをご存じですか?

触れる生き物をすべて凍らせてしまう、恐ろしい死のつららをご紹介します。

死のつらら”ブライニクル”

死のつららは「ブライニクル」と呼ばれる寒い海で起こる自然現象です。

寒い海で海水が凍結するときに、低温で濃度が高い海水の下降流ができます。これが凍る現象のことです。つまり、ブライニクルは海氷の下にできる死のつらら。海面付近から海底に向けて成長していくのです。

ではなぜ、海水なのに濃度が濃くなるのか・・・。海水が凍るとき、塩の成分は凍らず水分だけが凍ります。すると、海水が凍る過程で塩分濃度が濃い部分ができるんです。これが濃度が濃い海水ができる仕組みです。

濃度の濃い塩水は融点が低いため、周囲の海水がこの塩水に触れると凍ってしまうんです。そして濃度が濃い海水は比重も重いので下に向かって沈んでいきます。凍りながら海底に向かって落ちていくのです。

ブライニクルは、海水温度と気温の差が大きいときに起こりやすいと言われています。

こうして、ブライニクルは成長が早くあっという間につららになってしまうのです。

ナショナルジオグラフィックによると「8~10時間程度で約2メートル」に成長したブライニクルがあるという報告もあるそう。海底に向かって伸びる巨大なつらら・・・。

実は1960年代からこの死のつららの存在は確認されていたそうですが撮影に成功したのは最近のこと。イギリスのBBCが極寒の海に何時間も潜ってブライニクルができる瞬間を撮影しています。

このブライニクルが死のつららと呼ばれるのは、触れる物をすべて凍らせてしまうからなんです。

触れる生き物をすべて凍てつかせる”死のつらら”

 

ブライニクルが死のつららと呼ばれるのは“触れた生き物を凍死させてしまう”からです。

ブライニクルは比重が重いので海底に向かって渦を巻くように下りていきます。そして周囲の海水を凍結させて海中につららをい形成します。このつららは、海水より低温で強烈なまでの冷気を持っています。

早い話”めっちゃ冷たくてめっちゃ濃い”というわけです。

寒い海にもカニやヒトデ、ウニなどの海洋生物が生息していますが、この死のつららの冷気に触れたら最後

みんな凍って死んでしまうのです。

ブライニクルは、海面から海底に向けて渦巻くように下りていくのですが、海底にたどり着くとそこから四方八方に広がっていきます。海底にいるウニやヒトデなどがこのブライニクルに触れると一瞬で凍り付いてしまい、命を落とします。もともと寒い海にいる生き物ですら耐えられないほどの強力が冷気を持つの”ブライニクル”・・・。

ブライニクルが起こったであろう場所からは、ブライニクルから逃げられなかった海洋生物の亡骸が散乱しているとか。

急速に成長するブライニクル・・・。動きが遅い生物にとっては大きな脅威でしょう。

触れる物をすべて凍てつかせる・・・たくさんの海洋生物の命を奪うことから、ブライニクルは死のつららと呼ばれるのです。

まとめ

触れる物をすべて凍らせて命を奪ってしまう死のつらら”ブライニクル”は、極寒の海で起こる自然現象です。

海水が凍るときにできた濃度の濃い塩水が原因で起こる現象で、海面付近から海底に向けて急速なスピードで成長していきます。

そして、この死の”ブライニクル”は、強烈な冷気を持っているため、触れる物をすべて凍てつかせるのです。ブライニクルに触れた海洋生物は凍死。そして、このブライニクルは海底に達すると四方八方に広がっていくのです。

極海の海中で起こる静かで恐ろしい自然現象です。

参考資料:ナショナルジオグラフィック 海底の死のつらら、氷が作る景色

触れたものすべてを凍らせる…海中に生まれる「死のつらら」

Wikipedia ブライニクル