アマビエだけじゃない!人を助けてくれる妖怪三選

人を助ける妖怪がいる。 

妖怪といえば人を食い殺したり攫ってしまったり、二度と目を覚まさなくしてしまうような恐ろしいものも少なくないのだが、その中に人間のためを思い、人間を助けてくれる珍しい妖怪もいるのだ。

  • 山男(やまおとこ)
  • 神社姫(じんじゃひめ)
  • 金玉(かねだま)

今回は、そんな人を助ける妖怪を三名紹介する。彼らの優しさや与えてくれる利益を見て、少しでも元気が出てくれると幸いだ。

人を助けてくれる妖怪①山男

最初の人を助けてくれる妖怪は「山男」

かなりの巨躯を持つ半裸の妖怪。一見すると完全に人間であるが、れっきとした妖怪である。日本各国の山に生息しており、土地によって言葉を話したり、話さなかったりするらしい。

この妖怪、なにかと人間のお手伝いをしてくれるのだ。煙草や食べ物、酒等を人間から貰うと、代わりにその巨躯を活かして荷物の運搬、木の皮の収集、畑仕事等の重労働を人間の代わりにやっていた。まさにギブアンドテイクだ。

そしてどうやら心優しいらしく、山男がたまたま見かけた怪我をして身動きが取れなくなった人間を背負って遠くの医者の所に連れていき、名乗りも謝礼を求めもせずに去ってしまったというエピソードまである。こういった所を見るに、山男たちは基本的に人間のことが好きなようだ。

川古の大楠

そして当の人間もそんな山男を悪くは思わなかったらしく、力はあるが知識はない山男に動物の皮の処理方法等の技術を教えたり、「山男には危害を加えてはいけない」と定める地域があったりと、山男との共存を望んでいた。 

両者がお互いを好み、お互いを尊重する。まさに平和そのものである。

これらを見るに、基本的に人間と山男は仲良くしており、持ちつ持たれつな関係で上手くやってきたと言えるだろう。まさに人間の良きパートナーであり、彼らはまさしく人を助ける妖怪に他ならないだろう

参考:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/山男

人を助けてくれる妖怪②神社姫

助けてくれる妖怪の2つ目は「神社姫(じんじゃひめ)」

頭は角の生えた人間、首から下は巨大な魚という奇妙な姿をした妖怪。人語を操り、その長さは6メートルにも及ぶ。

そんな神社姫だが、実はこの妖怪、近いうちに大流行する危険な病の存在を人々に予言し、更にはその病から人々を守り、なんと長寿まで与えてくれるというのだ。

恐ろしい見た目をしているが、人間へのサービス精神が旺盛ななんとも心優しい妖怪である。

そして実際に神社姫が感染症を預言し、人間を守ると言ったという記録が一件存在する。それは

「1819年、九州の浜辺に神社姫が現れ、自分を目撃した人間に

『我は龍宮よりの使者・神社姫である。向こう7年は豊作だが、その後にコロリ(コレラの別名)という病が流行る。しかし我の写し絵を見ればその難を逃れることができ、さらに長寿を得るだろう』

と伝えた」というものだ。

そしてその予言を聞いた人が他の人たちに知らせたのか、人々は神社姫の絵を描き、有難がっていたという。なんともいい話である。

しかしこれで終わればいいのだが、結論から言うと神社姫のこの予言は基本は的中なのだが、間違っている所があるのだ。

まず神社姫の予言通り、この後日本では「コレラ」という感染症が大流行した

そこまでは見事に的中しているのだが、コレラが流行したのは神社姫の言う1819年から7年後以降ではなく、わずか3年後の1822年なのである。完全に時期を見誤っているのだ。

更に言うと、「神社姫の絵を描いて見ていた人間全員がコレラに掛からず、全員が長寿であった」という記録は存在しない。当然と言えば当然なのだが、「しかし我の写し絵を見ればその難を逃れることができ、さらに長寿を得るだろう」という一説には疑問を持たざるを得ない。

これらを総括すると、神社姫とは予言の詳細やそれへの対策は力及ばぬ所があったものの、コレラという病を予言をし、更に人を守ろうとした妖怪であることには間違いない。それに関しては立派な「人を助ける妖怪」と言えるだろう。

参考:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/神社姫

人を助けてくれる妖怪③金玉

最後の助けてくれる妖怪は「金玉(かねだま)」

読み方は「かねだま」。間違えないように注意したい。目や口などはなく色は金色で、姿は完全な球体。大きさは5~10センチメートル程。

この妖怪は凄い。なんと、自らを拾った人間を大金持ちにしてしまうのだ。

まず、この妖怪は空から降ってくる。

そして落ちてきた自身を発見し、拾い家に持ち帰った人間をどういった原理かは分からないが大金持ちにしてしまうというのだ。

大金持ちにするといっても、金玉を拾ったからといってお金が直接降ってくるとかそういうわけではなく、どちからというと運気を上げ、拾い主の家そのものを栄えさせると言った方が近い。どうやら全体主義のようだ。

ただし、取り扱いには注意しなければいけない。家に持ち帰った金玉を傷つけてしまうとたちまち家が滅びてしまうという話があるのだ。

これもまたどういう原理か分からないが、きっと家を栄えさせることが出来るのだから、滅ぼしてしまうことも出来るのだろう。とにかく扱いには注意したい。

どうやって大金持ちにするのかという疑問の他にも、どこから降ってくるのか、何故空中にいるのか、何故降りてくるのか。これら全ては不明だ。とにかく情報と伝承が少ない妖怪である。 

本当に謎の多い妖怪だが、少なくとも「拾った人間に富を与える」という点は間違いないなさそうだ。お金をもらって困る人間はそうそういない。金玉はれっきとした人を助ける妖怪と言っていいだろう。

暇な方は、散歩がてらに金玉を探してみてもいいかもしれない。

参考:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/金霊

人を助けてくれる妖怪:まとめ

かのアマビエ以外にも人々を助け、救おうとしてくれる妖怪はそれなりに居るようだ。もしかしたら貴方も、知らないうちに妖怪に助けられたことがあるかもしれない。

最近、変なウイルスが流行したり、嫌なニュースや大変なことがあったりしてしまうが、人間にも妖怪にも誰かを助ける者、または「誰かを助けたい」と思っている者は必ずいる。

綺麗事だけでは生きていけないかもしれないが、お互い元気にやっていきたいものだ。

他の妖怪記事についてはコチラ↓