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03月02日12時50分

あなたの生活・仕事にも無関係ではない?! 民法改正⑥「解除」

これまで5回にわたって民法改正についてお話ししてきました。今回は、契約を解除するための要件について、大きな改正点がありますので、それについてお話しします。

契約を解除するには

 一度締結した契約は、理由もなく解除することはできないというのが原則ですが、例えば、相手方が契約条項に違反した場合など一定の理由がある場合に限り、契約を解除できるとされています。そして、契約を解除するためには、相手方に責任(「帰責事由」)が必要であると解釈されています。
 例えば、現行民法543条は、
 「履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。ただし。その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りではない。」
と規定されています。そして、このような履行不能(契約どおりの履行をすることができない状態になったとき)の場合、契約を解除するためには、履行不能になったことの帰責事由が必要であると民法で規定されています。さらに、履行不能以外の債務不履行の場合であっても、解釈によって、契約を解除するためには、相手方の帰責中が必要であるとされています。

改正民法では、帰責事由が不要に

 これに対して改正民法では、相手方が債務不履行をした場合に、契約を解除するために帰責事由は不要ということになりました。
 契約を解除するということは、一旦締結した契約の拘束力から解放される、ということを意味します。つまり、契約を解除するといっても、例えば債務不履行をした相手方に対して損害賠償請求をするなど、相手方に対して必ずしも何らかの制裁を与えることを目的にしているわけではありません。そうであれば、債務不履行になったことについて、あえて帰責事由を要求する理由はないとされたわけです。

 ただし、契約の解除をするためには帰責事由が必要なくなったとしても、履行不能の場合や相手方が履行を明確に拒否した場合等、何らかの事情がなければ、原則として催告が必要であるという点については変更がありません。
さらに、改正民法では、債務不履行の程度が軽微の場合には解除できないという規定も設けられました。

 

 契約の解除をするために帰責事由が不要になるという点については、これまでのルールから大きく変更されるポイントです(例えば、契約書で、契約を解除するためには相手方に帰責事由が必要であることになっているなど)。そこで、事業者の皆様には、現在使用している契約書など、このルール改正に則って見直されることをおすすめします。

 

このコラムの担当は

あなたの生活・仕事にも無関係ではない?! 民法改正⑥「解除」
弁護士 矢吹保博
民事事件・家事事件・刑事事件など幅広く多様な事件を取り扱う傍ら、「株主の権利弁護団」に所属し、カルテル事件などに関する株主代表訴訟なども取り扱う。

あさひパートナーズ法律事務所
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