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02月17日11時30分

あなたの生活・仕事にも無関係ではない?! 民法改正④「消滅時効Ⅱ」

前回は、民法改正によって「消滅時効」に関するルールが変更になるということについてお話しました。今回はその続きをお話しします。

時効の「中断」「停止」という用語が変わる

 現行の民法では、時効の「中断」と「停止」という制度があります。
 時効の「中断」とは、進行していた時効がある事由により改めて最初からスタートすることです。例えば、友人からお金を借りていて、9年以上返済しておらず、あと数か月で10年が過ぎ、時効が成立するという状態のときに、一部でも返済してしまうと、その返済の時からまた改めて10年の時効期間がスタートする、ということになるわけです。
 時効の「停止」とは、時効が成立することを猶予するという制度です。上記の例でいうと、時効成立直前に、友人から、「あのとき貸した金を返してくれ」と催告されると、6か月だけ時効の成立が猶予されることになります。「中断」とは異なり、新たに時効期間がスタートするわけではありません。この猶予期間に、友人は、裁判などの時効の「中断」のための手段を準備できるというわけです。
 
 しかし、この時効の「中断」と「停止」という用語、イマイチ分かりにくいと思いませんか。
 そこで、改正民法では、時効の「中断」を「更新」、「停止」を「完成猶予」という用語に変わります。この用語の変更により、イメージが掴みやすくなると思います。

時効の「停止」(完成猶予)のためにできること

 時効の停止(完成猶予)をするためには、先ほどの例でも挙げたとおり、ひとまず「催告」をすることです。これは、裁判手続きによらずに請求することです。法律上はその方法に決まりはありませんので、口頭でも構いません。ただし、後日裁判でも、「催告」したことを証明できるように、内容証明郵便で行っておくべきでしょう。ちなみに、裁判を提起して請求すれば、それは時効の「中断」(更新)になります。
 そして、改正民法では、時効の「完成猶予」の制度として、「権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたとき」という制度が新たに創設されました。これは、とりあえず協議を継続するということで合意をすれば、時効の「完成猶予」になるということです。この点、債務者が債務の存在について認めれば(例えば、債務者が「支払わなければならないことは分かっていますが、お金がないので支払えません」と申し出ることはよくあります。)、それは時効の中断(更新)になります。協議を継続するということは、債務があるかどうかについても意見が対立しているケースです。このような場合に、いわば応急措置として、時効の「完成猶予」の措置として、協議を継続する合意をするというわけです。

前回と今回で、消滅時効の制度に関するルールの変更についてお話ししました。消滅時効の期間が変わることで、例えば伝票や帳簿を保管しておくべき期間を変える必要もあると思いますので、もし気になることがあれば、専門家にご相談されることをおすすめします。

 

このコラムの担当は

あなたの生活・仕事にも無関係ではない?! 民法改正④「消滅時効Ⅱ」
弁護士 矢吹保博
民事事件・家事事件・刑事事件など幅広く多様な事件を取り扱う傍ら、「株主の権利弁護団」に所属し、カルテル事件などに関する株主代表訴訟なども取り扱う。

あさひパートナーズ法律事務所
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