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02月10日11時30分

あなたの生活・仕事にも無関係ではない?! 民法改正③「消滅時効」

民法改正で、これまでのルールから大きく変更される制度の一つとして、「消滅時効」があります。今回はこの「消滅時効」についてお話しします。

消滅時効とは

 消滅時効とは、権利を一定期間行使せずに放置しておくと、その権利を行使することができなくなるという制度です。「時効」という言葉は法律用語ですが、広く一般的に使われている言葉ですので、消滅時効という制度そのものをご存知ない方はほとんどいないのではないかと思います。
ただ、一体、何年経過すれば消滅時効にかかってしまうのか、ということまで具体的にご存知の方は少ないでしょう。
まず、一般の債権(個人間のお金の貸し借りなど)は10年(167条1項)と決められています。ところが、それ以外に、権利の種類によって短い消滅時効期間が定められているものもあります。例を挙げますと、毎月支払う家賃は5年(169条)、病院での治療費は3年(170条1号)、学習塾の授業料は2年(173条3号)、飲食店の代金は1年(174条4号)、などです。ちなみに、弁護士費用は2年で消滅時効にかかります(172条1項)。

ルールが一本化される

 このように、現行民法では、職業ごとに、消滅時効の期間がバラバラに規定されています。ただ、文言だけでは、必ずしも明らかではない場合もありますので、例えば「この権利の消滅時効は2年かどうか」について裁判で争われるケースもあります。
 改正民法では、権利の種類ごとにバラバラに決められている消滅時効の期間が見直され、
  ①権利を行使することができることを知った時から5年
  ②権利を行使することができる時から10年
で消滅時効にかかることになりました。
 現行民法が制定された当時は、職業ごとに消滅時効の期間を変えることが合理的であるとされていました(飲食店のツケを1年以上放置することはほとんどなく、また、店側としても管理するのが大変、など)。しかし、現在では、職業ごとに差を付けることの合理性がなくなったと考えられたわけです(飲食店のツケであっても、パソコンで管理することが多く、管理も大変ではなくなった、など)。
 以上のとおり、改正民法では、消滅時効にかかる期間が一本化されることになります。
 なお、人の生命や身体が侵害された場合の損害賠償請求権については、
  ①損害及び加害者を知った時から5年
  ②権利を行使することができる時から20年
と、長い期間が設定されています。これは、生命や身体という重要な権利、をその他の債権より保護すべきと考えられたためです。

 

 次回も引き続き、消滅時効の制度についてお話ししたいと思います。

 

このコラムの担当は

あなたの生活・仕事にも無関係ではない?! 民法改正③「消滅時効」
弁護士 矢吹保博
民事事件・家事事件・刑事事件など幅広く多様な事件を取り扱う傍ら、「株主の権利弁護団」に所属し、カルテル事件などに関する株主代表訴訟なども取り扱う。

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