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02月03日11時30分

あなたの生活・仕事にも無関係ではない?! 民法改正②「錯誤・無効・取消し」

前回から連載を開始した民法改正。今回は、前回お話しした「錯誤」について、現行ルールから変更される点をお話しします。また、「無効」と「取消し」の違いについてもお話ししておきます。

錯誤について、現行ルールから変更される点

現行の民法では、錯誤による意思表示は無効、とされています。前回の例で言えば、ある商品を「100万円」で売ろうと思っていたにもかかわらず、契約書に「100円」と書いてしまったような場合には、その契約は無効になります。
 改正民法では、錯誤による意思表示は、無効ではなく、取り消すことができるようになります。その違いは次の点にあります。
 契約が無効の場合であれば、意思表示をした人が「この契約は無効にしてください」と言わなくても、初めから無かったことになります。他方で、契約を取消すことができる場合であれば、意思表示をした人が「この契約は取り消します」と言うまで有効であるということになります。その違いが大きく表れるのは、長時間が経過したときです。契約が無効の場合であれば、どれだけ時間が経過しても、無効であることを主張できます。他方で、取消すことができる場合は、取消すことができることを知った時から5年しか、取消しを主張することができません。

意思表示が無効になる場合

 改正民法では、意思表示が無効になる場合が明文で規定されることになりました。改正民法第3条の2では、

第3条の2 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効とする。

としています。
 「意思能力」とは何なのかについては書かれていませんが、一般的に、「自分のしている行為の法的な意味を理解する能力」(山本敬三「民法講義Ⅰ」(有斐閣、初版)36頁)と考えられています。契約の内容について理解・判断する能力がない人と契約を締結したとしても、その契約は無効になるというわけです。ただし、これまでも、意思能力がなければ契約などはできないとされていましたので、特に新しいルールが設けられたわけではありません。

 

このように、条文が改正されることで、現行のルールから変更される点と、これまでの解釈が明文化される点が混在している部分があります。
次回以降でも、実質的な改正があるかどうかが分るように、説明していきます。

 

このコラムの担当は

あなたの生活・仕事にも無関係ではない?! 民法改正②「錯誤・無効・取消し」
弁護士 矢吹保博
民事事件・家事事件・刑事事件など幅広く多様な事件を取り扱う傍ら、「株主の権利弁護団」に所属し、カルテル事件などに関する株主代表訴訟なども取り扱う。

あさひパートナーズ法律事務所
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