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01月13日12時00分

あなたの生活・仕事にも無関係ではない?! 民法改正①「錯誤」

民法という日常生活でもっとも基本となる法律が、2016年度に改正される見込みです。改正によって、どのような変化があるのか、これから見ていこうと思います。

これまでのルールから大きく変わるのか??

今回改正されるのは、民法のうち、「総則」、「債権総論」、「債権各論」と呼ばれる部分で、比較的広範囲に及んでいます。これまでの用語が変わったり、細かなルールが変わったりしている部分が少なくありません。
ただ、これまでのルールから大きく変更される部分は、それほど多くはありません。例えば、次の「錯誤」に関するルールの改正案を見てみましょう。

【錯誤(さくご)に関するルール】

錯誤とは、簡単に言うと「言い間違い」、「書き間違い」などの間違いのことです。例えばある商品を1つ100万円で売ろうと考えていたのに契約書で100円と書いてしまった、といようなケースで、民法ではそのような契約は無効、と決められています。
 他方、たとえば、「自分の体型にピッタリだと思って買ったパンツを、家で履いてみたらチャックが閉まらなかった」というケースでは、無効にはできません。あくまでもの「そのパンツを買う」という点に間違いはないからです。このような間違いは「動機の錯誤」と呼ばれています。「自分の体型にピッタリだと思ったから」という、購入した動機に間違いがあるだけ、ということです。
 現行の民法では、このような動機の錯誤は無効とはされていません。例外的に、あらかじめ動機が相手方に表示されていれば無効になると解釈されています。先ほどのケースでは「私の体型にピッタリだと思うから買いますが、入らなかったら返品します」と店員さんに告げていたような場合には、無効になるというわけです(もっとも、このようなケースでは、買う前に試着しておくべきですが・・・)。

 改正民法では、この解釈が明文化されます。改正民法第95条では、

第95条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 (省略)
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。

と規定されています。「法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤」が動機の錯誤にあたります。そして、これが「表示されていたときに限り」取り消すことができる、というわけです。つまり、現行の民法での解釈と同じですね。

 

 

この「錯誤」に関する規定のように、改正民法ではこれまでの解釈を明文化したものが少なくありません。
本シリーズでは、このような改正民法について、重要と思われるところをチェックしていこうと思います。

 

このコラムの担当は

あなたの生活・仕事にも無関係ではない?! 民法改正①「錯誤」
弁護士 矢吹保博
民事事件・家事事件・刑事事件など幅広く多様な事件を取り扱う傍ら、「株主の権利弁護団」に所属し、カルテル事件などに関する株主代表訴訟なども取り扱う。

あさひパートナーズ法律事務所
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