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02月25日12時50分

ニュースで気になるあの法律⑯

刑務所で服役中に花粉症の治療が受けられず、症状が悪化したとして、国に慰謝料を求めたという事件があり、慰謝料が認められました。これは一体どういう法律に基づいて判断されたのでしょうか(http://mainichi.jp/select/news/20150218k0000m040124000c.html)。

国や地方公共団体の賠償責任

国や地方公共団体の行為によって何らかの損害を受けた場合、「国家賠償法」という法律に基づいて、その損害の賠償を求めることができます。今回のケースでも、この国家賠償法に基づいて慰謝料を請求したものと思われます。
国会賠償法第1条は、
「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」
と定めています。「その職務を行うについて」と規定されているのは、たとえ公務員であっても、プライベートの言動については国や地方公共団体が責任を負わないということです。

賠償を認めてもらうのは簡単ではない

ただ、一般的に、公務員には大きな裁量権があると考えられています。このため、賠償が認められるケースというのは、決して多くはありません。
また、今回のケースのように、「治療を受けさせなかった」ということが違法であると認定されるケースも稀といえるでしょう。なぜなら、「治療を受けさせていれば、症状はそれ以上悪化しなかった」ということを、原告の側で証明しなければならないからです。このような証明は、仮定の話を証明することになるので、非常にハードルが高いのです。かつて、拘留中に脳こうそくを発症して後遺症が残ったという事件で、速やかに医療されていたとしても、後遺症が残らなかったといえるかどうかは不明であるとして、賠償責任が認められませんでした。

今回のケースは7万円の慰謝料が認められました。金額は小さいですが、国の責任が認められたのは比較的珍しいケースですので、報道がされたのでしょう。

このコラムの担当は

ニュースで気になるあの法律⑯
弁護士 矢吹保博
民事事件・家事事件・刑事事件など幅広く多様な事件を取り扱う傍ら、「株主の権利弁護団」に所属し、カルテル事件などに関する株主代表訴訟なども取り扱う。

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