ENTRY
02月11日12時50分

ニュースで気になるあの法律⑭

学校の教室にエアコンを設置するべきかどうか。このことを巡って住民投票が行われるようです(http://www.asahi.com/articles/ASH257SYJH25UTNB019.html)。最近、いろんな場面で住民投票が活用されているようですが、どんな事項でも住民投票を行うことができるのでしょうか。

憲法で必要とされている住民投票もある

 各地の地方公共団体で自主的に行われているイメージのある住民投票。
実は、憲法で住民投票をしなければならないケースが決められています。憲法95条では、「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」と規定されています。つまり、一部の地方公共団体にのみ適用される法律を制定するには、その地方公共団体で住民投票を行わなければならないということです。

地方公共団体が自主的に行う住民投票

 ただ、今回のケースは、法律を制定するわけではありませんので、憲法95条で規定されているようなケースとは違います。
 こういったケースは、各地方公共団体で制定されている条例(一般的には、「住民投票条例」などと呼ばれています。)に基づいて実施されることになります。
 そして、住民投票条例に基づいて実施される住民投票は、その地方公共団体の重要な施策について住民の意見を聴取する場合に行う、と規定されている場合が多いと思われます。
 ただ、「重要」かどうかはケースバイケースということになりますので、結局、どのような事項が住民投票の対象になるかは明確に決まっているわけではないということです。つまり、様々な事項が住民投票の対象になる可能性があるというわけなのです。
 教室にエアコンを設置すればそれだけの予算が必要になりますが、酷暑が続く昨今では学習環境を改善するためには必要であるとも言えます。特に今回のケースでは、近くに基地があり、騒音のために窓を開けることができないという事情があるようです。住民投票でどういった結果が出るのか、興味のあるところです。

住民投票には拘束される?

 ところで、住民投票条例に基づいて実施された住民投票について、地方公共団体はその結果に拘束されるのでしょうか。
 これについては、一般的には、拘束されないと解釈されています。つまり、住民投票の結果とは反対の施策を取ってもよいということです。ただ、選挙のことを考えれば、住民投票を全く無視するような施策を取ることは考えにくいでしょう。

このコラムの担当は

ニュースで気になるあの法律⑭
弁護士 矢吹保博
民事事件・家事事件・刑事事件など幅広く多様な事件を取り扱う傍ら、「株主の権利弁護団」に所属し、カルテル事件などに関する株主代表訴訟なども取り扱う。

あさひパートナーズ法律事務所
 〒541-0041
 大阪市中央区北浜2丁目1番5号
 平和不動産北浜ビル4階
 TEL 06-6226-8995 FAX 06-6223-5202