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01月07日12時50分

ニュースで気になるあの法律⑩

国民一人一人に番号を割り振るという制度の“マイナンバー”。これを預金口座の管理にも利用することが検討されているようですが、この制度が導入されると、どのような影響があるでしょうか。

口座の差押えがしやすくなる?

貸したお金を返してもらおうと思って裁判をし、勝訴判決を受けたとしても、相手方がその判決に従ってくれるとは限りません。相手方が判決に従わない場合、相手方の財産を差し押さえるなどの「強制執行」という手続きを取る必要があります。
ただし、差し押さえるものを何にするかは、強制執行を行う側が選択しなければなりません。そして、相手方がどういった財産を持っているかは、裁判所や国が探してくれるわけではありません。つまり、強制執行を行う側が、差し押さえようとする相手方の財産を探し出さなければならないのです。例えば、銀行の口座(正確には、銀行に対して預金を払い戻してもらう権利)を差し押さえようという場合、どの銀行のどの支店に口座があるかを探し出す必要があるのです。
このため、判決で負けた側が、どこか遠くの銀行にでもお金を預けてしまうと、せっかく勝訴判決をもらっても、結局回収することができない、という事態になるのです。
もし、マイナンバーで口座情報も管理されるということになれば、マイナンバーを利用することで、どこの銀行に口座があるかということを調べることができるようになる可能性があります。そうなれば、こっそり遠くの銀行にお金を預けて財産隠しをする、というようなこともできなくなります。

個人情報の管理に敏感になる?

もっとも、マイナンバーがどのように運用されるかはこれからの検討課題ですが、他人のマイナンバーを知ることはできないのではないか、という問題があります。さきほどのニュースのように、マイナンバーによってその個人に関する様々な情報が管理されるようになれば、当然、マイナンバーそのものの管理も厳重にしなければなりません。ところが、そういった情報の価値は非常に高いですので、一般的には、他人のマイナンバーを知ることはできないという制度になるのではないでしょうか。
ただ、こういった価値の高い情報については、これを収集しようと企む業者も現れるということが予想されます。万が一マイナンバーが漏洩してしまうと、様々な個人情報が漏洩することになってしまいます。

 

マイナンバーは、便利な制度ではありますが、他方で多くの個人情報を知る手がかりになるものなので、漏洩したときの危険が大きくなります。ですので、慎重な議論を経て検討される必要があります。

 

このコラムの担当は

ニュースで気になるあの法律⑩
弁護士 矢吹保博
民事事件・家事事件・刑事事件など幅広く多様な事件を取り扱う傍ら、「株主の権利弁護団」に所属し、カルテル事件などに関する株主代表訴訟なども取り扱う。

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