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11月12日12時50分

ニュースで気になるあの法律③

警察官が無断で大学の構内に立ち入ることは許されないのか。今回はそんなニュースについてお話しします。

なぜ事前の通告が必要とされているのか

無断で京都大学の構内に立ち入った私服警官を、学生らが取り囲む騒ぎがあったというニュースが流れました。構内に警察官が立ち入るときは、事前に通告するなどの申し合わせがあったにもかかわらず、警察側はこの事前通告を行っていなかったようです。
ところで、警察が大学の構内に立ち入ることについて、何が問題なのでしょうか。

学問の自由を保障することの大切さ

大学とは言うまでもなく学問を行う場所ですが、場合によっては時の政治権力に対して批判的な意見を主張することも少なくありません。そういった、政治権力に批判的な意見を抑制しようとして警察官が大学内に立ち入ることになると、自由な学問ができなくなる危険があるわけです。
そこで、大学には、学問の自由を守るために自治権があると考えられており、大学内の管理や運営などは、外部からの圧力を受けることなく大学が自主的に決定することが認められています。たとえ大学の構内で紛争が生じたとしても、大学内部で解決することが原則であり、大学側の求めがある場合などの例外を除き、警察官が大学構内に立ち入ることもありません。

「東大ポポロ事件」をきっかけに起こった議論

かつて、東京大学の学生団体「ポポロ劇団」がある実際の出来事を素材にした演劇を上演中、私服警官が紛れていることを学生が発見し、これを取り押さえたという事件がありました。取り押さえた学生は起訴されたのですが、この裁判で、大学の自治という考え方が議論されました。
今回のニュースは、まさにこの「東大ポポロ事件」を想起させる事件でした。

何でも許されるというわけではない

とはいえ、大学といえども治外法権ではありません。学生が警察官に対して暴力を振るうような事態になれば、暴行罪や公務執行妨害罪という罪に問われる可能性があります。あくまでも、大学の自治を守るという限度での対応を心掛ける必要があります。学問の自由は大切です。だからこそ、政治権力側に、その大切な自由を制約する口実を与えるきっかけを作ってしまわないように、心掛けなければなりません。

このコラムの担当は

ニュースで気になるあの法律③
弁護士 矢吹保博
民事事件・家事事件・刑事事件など幅広く多様な事件を取り扱う傍ら、「株主の権利弁護団」に所属し、カルテル事件などに関する株主代表訴訟なども取り扱う。

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