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11月05日12時50分

ニュースで気になるあの法律②

家庭裁判所の裁判官が寝坊し、審判期日に来なかったとして、期日が取消しになったという報道がありました。寝坊を理由に、審判期日が延期されることは認められるのでしょうか。

裁判の期日は、簡単には変更できない

 裁判に関わったことのある方はご存知だと思いますが、裁判の期日はそう簡単には変更できません。裁判の期日は原則として平日のお昼間ですので、「仕事の都合」を理由に期日を変更してもらいたいと思ったことがある人も少なくないでしょう。しかし、「仕事の都合」というだけでは、なかなか期日の変更は認めてもらえません。
 この点について、民事訴訟法という法律では、「期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り許す」と規定されています。例えば、出廷することができないほどのけがや病気などは「顕著な事由がある場合」に該当すると考えられます。
 「寝坊」がこれに該当するのかというと、疑問であると言わざるを得ないでしょう。これを意識してかどうかは分かりませんが、当の裁判官は「体調に問題があった」と説明しているようです。
 なお、報道のケースは、家庭裁判所の審判期日ですので、厳密には民事訴訟法とは異なるのですが、「家事事件手続法」という法律に同様の規定があります。

期日の変更は誰が決めるのか

 期日の変更とは、既に決められている期日を取消し、新しい期日を指定することを意味します。そして、期日の変更は、裁判所が行います。裁判所とは、簡単に言うと、その事件を担当している裁判官(一人もしくは複数)のことです。
 とすると、今回のケースでは、その事件を担当している裁判官は寝坊して法廷にいないわけですから、そもそも期日の変更をする裁判官がいないのではないかとも思えます。もちろん、裁判所書記官や裁判所事務官が勝手に期日の変更をすることはできません。たとえ同じ裁判所にいる裁判官であっても、その事件を担当していなければ、期日の変更をすることはできません。
 ただし、期日として予定されていた時間になったとしても、裁判官がいない以上、期日は開始していません。期日が開始する前であれば、期日の変更をすることができます。このため、今回のケースでは当の裁判官が遅刻して裁判所に到着した後、自分自身で期日の変更を行ったということになるのです。

このコラムの担当は

ニュースで気になるあの法律②
弁護士 矢吹保博
民事事件・家事事件・刑事事件など幅広く多様な事件を取り扱う傍ら、「株主の権利弁護団」に所属し、カルテル事件などに関する株主代表訴訟なども取り扱う。

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