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07月16日12時50分

もし裁判員に選ばれたら ④

これまで裁判員裁判に選ばれたときについてお話ししておりますが、今回は、裁判員裁判の中でも、争いのある事件(いわゆる「否認事件」)の審理についてお話しします。

争いがある事件とは

「争いがある事件」と言っても、どういった争いがあるのかは事件によって異なります。例えば、「Aさんを殺した犯人は、私ではありません」(=被告人が犯人かどうかに争いがある)という場合や、「確かにAさんをナイフで刺してしまいましたが、殺すつもりはありませんでした」(=被告人に殺人の故意があったかどうかについて争いがある)といった場合などです。

争いのある事件の審理

こういった、いわゆる否認事件は、検察官の提出する証拠によって、争いのある事実について、その真偽を判断することになります。問題は、「証拠」と言っても、様々なレベルの証拠があります。例えば、被告人がAさんを殺害する様子を目撃した証人がいる場合、その証言の信憑性を判断します。しかし、このような証人がいるケースは、ドラマと違って現実では多くありません。
また、犯罪の故意があるかどうかは、内心の問題なので、故意の存在を直接証明する証拠などは通常ありません。このため、多くのケースでは、様々な「状況証拠」によって推測して判断することになります。

争いのある事件は、争点が事前に整理されている

ただ、こういった状況証拠について、裁判員が逐一判断することになると、膨大な時間が掛かり、裁判員の負担が大きくなりすぎます。そこで、裁判が始まる数か月前から、裁判官・検察官・弁護人の間で、事実関係の整理が行われています。これにより、裁判員裁判で審理されるのは、「状況証拠」のうち、重要性の高い事実などに限られることになります。
とはいっても、裁判では多くの証拠資料を取り調べたり、証人尋問を行ったりすることになりますので、争いのある事件については拘束時間が比較的長くなるケースが多いでしょう。

評議を経て判決へ

証拠の取調べが終わると、裁判官と裁判員が評議を行います。評議は非公開で、検察官や弁護人であっても立ち会うことはできません。裁判員の方々が率直な意見を言い合えるようにするためです。また、疑問があるような場合には遠慮無く裁判官に聞いてみてください
この評議によって、判決の内容を決めることになります。事件によっては、この評議だけでも数日間を要する場合もあります。

 

 

今回まで4回にわたって裁判員裁判の概要をお話ししてきました。もし読者の皆様で参加されたことのある方がいらっしゃいましたら、感想などをお寄せください。

おわり

このコラムの担当は

もし裁判員に選ばれたら ④
弁護士 矢吹保博
民事事件・家事事件・刑事事件など幅広く多様な事件を取り扱う傍ら、「株主の権利弁護団」に所属し、カルテル事件などに関する株主代表訴訟なども取り扱う。

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