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03月05日12時50分

うろついたら罪!?(意外と知らない!?軽犯罪法③)

今週も先週から引き続き、軽犯罪法を見ていきます。 今回は、大半の人には無縁だと思いますが「え?!こんなことが犯罪になるの?」と思ってしまう規定です。

浮浪の罪

軽犯罪法第1条第4号は、「生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの」と定められています。

定職に就かず住居をもたず徘徊するだけでなぜ罪になるのでしょうか。

この規定の趣旨について、「浮浪行為は、それ自体反社会性を有するのみならず、また、犯罪行為と極めて結びつきやすいので、浮浪行為自体を禁止することとされた」(伊藤榮樹原著・勝丸充啓改訂「軽犯罪法(新装第2版)」)とされています。

まず、「生計の途がない」というのは、生活費などを稼ぐための定職に就いていない状態です。病気やけがなど様々な事情によって職に就けないでいる場合もありますので、そのような場合には「働く能力がありながら」とはいえませんので、単に無職というだけでこの罪が成立するわけではありません。また、仮に病気やけがを抱えているわけではなくても、ハローワークに通うなど職探しをしている場合には「職業に就く意思を有せず」とはいえませんので、この罪は成立しません。

さらに、仮に病気やけがを抱えておらず、また職探しをしていなくても、住まいがある場合には、「一定の住居を持たない」とは言えませんので、やはりこの罪は成立しないということになります。また、「うろついた」と規定されていますので、徘徊しなければ罪にはなりません。

実際の逮捕者!?

この罪については、戦前はより緩やかな要件で規定されており、濫用されたという歴史があります。ですが、現在では要件も比較的厳しくなり、ほとんど適用される場面のない規定だと思えます。
ところが、2012年9月、この規定に基づいて男性を逮捕したという事件が、奈良県警のホームページに掲載されたと報道されました。詳しい事情はよく分かりませんが、現在でもこの規定が適用されることもあると考えておいたほうがよいでしょう。

 

つづく

このコラムの担当は

うろついたら罪!?(意外と知らない!?軽犯罪法③)
弁護士 矢吹保博
民事事件・家事事件・刑事事件など幅広く多様な事件を取り扱う傍ら、「株主の権利弁護団」に所属し、カルテル事件などに関する株主代表訴訟なども取り扱う。

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