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03月04日21時30分

2014年度アカデミー賞作曲賞受賞!『ゼロ・グラビティ』の音楽の魅力とは!?

さて、今年も様々な作品がノミネートされた2014年、第86回アカデミー賞! 今回は、素晴らしきサウンド・トラックで作曲賞を受賞した『ゼロ・グラビティ』の音楽の魅力を、しっかりご紹介したいと思います!

アカデミー賞を受賞した作曲家、スティーブン・プライス氏って?

 さて、今回のアカデミー賞では作曲賞のみならず、監督賞や撮影賞などから音響効果賞に至るまで、合計7部門を制した『ゼロ・グラビティ』。
 このサウンド・トラックを作曲したのは、イギリスの作曲家スティーブン・プライス氏です。
 5歳の頃からギターを始め、ケンブリッジ大学を主席で卒業というエリート街道を突き進み、U2のボノやロンドン交響楽団などとも競演した、まさに超実力派の作曲家。
 アビー・ロード・スタジオからの紹介で『ロード・オブ・ザ・リングス三部作』『バットマン・ビギンズ』にも参加するなど、自身のキャリアを着々と築いた後、映画『アタック・ザ・ブロック 』や『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う! 』では、個人名義で作曲を担当しています。

 

アカデミー賞7冠を制した『ゼロ・グラビティ』の音楽の魅力

 このように、しっかりとした基盤を作り上げた上で、彼が作り上げた『ゼロ・グラヴィティ』の音楽。
 耳を澄ませてみると、電子音やノイズに、管楽器や弦楽器、デジタルなのかアナログなのか判別のつかない音や、鼓動の音など、まるで音の博物館のようです。
 一聴すると、どの曲も自然に聞こえますが、数えきれないの音を使いながらも、1つ1つの音にしっかり存在感を与えることは非常に難しく、これほどの音楽空間を作り上げられる作曲家はなかなかいません。
 ひとつの音を追って行くと、次の音が現れ、気付けば別の音世界に変わっている。
 音楽体験としても充実しているのが、『ゼロ・グラビティ』という映画を素晴らしいものにしている理由のひとつなのでしょう。
 これらの魅力によって、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』の作曲家アレクサンドル・デプラや、今回で47回目のノミネートとなったジョン・ウィリアムスなどの超重鎮作曲家を押しのけて、若手のスティーブン・プライスがアカデミー賞を受賞したのかもしれません。

 

音楽の背景にある名曲たち

 音楽はひとりではいられません。
 現代音楽オーケストラや、70年代のプログレッシブ・ロックさえも彷彿とさせるサウンドの裏側には、様々な影響が見て取れます。
 今回、スティーブン・プライス氏が参考にしたと語る音楽はアカデミー賞受賞作品『2001年宇宙の旅』でも使われた、ハンガリーの作曲家リゲティ・ジェルジュ(György Ligeti)氏のもの。
 そして、カナダのポスト・ロック・バンド、Godspeed You! Black Emperorの音楽などだそうです。
 どちらも、音によって空間を作り上げ、劇場で繰り広げられる一幕のように観客を別世界へと誘ってくれるアーティストであります。
 動画は、『2001年宇宙の旅』の名曲「Atmospheres」と、Godspeed You!Black Emperorの2011年カナダ、モントリオールでのライブです。

 

アカデミー賞を勝ち取る音楽とは

 素晴らしい音楽を基本にし、様々な音を使いながらも、スティーブン・プライス氏が『ゼロ・グラビティ』を作る際に最も注意を払ったのは、やはり『主人公の感情やストーリーに添う』という事。
 宇宙空間という無機質さと、人間という有機的な感情が織りなす世界。
 その世界を編み込むように描かれた音楽であるからこそ、一瞬でも見逃したり、聞き流すことすらできないような、映画体験を作り上げてくれるのかもしれませんね。

 

スティーブン・プライス『ゼロ・グラビティ オリジナル・サウンドトラック』 ― iTunesで購入