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02月11日12時30分

パソコンでいい音を楽しむために(最終回、ケーブルとシールドと)

さて、いよいよ最終回となりました「パソコンでいい音を楽しむために」。 今回は、様々な説が飛び交って、なかなか本当の話を聞く事が出来ない、ケーブル(シールド)のお話です。

ケーブルとシールド

 パソコンの中には数多くの配線が走っています。
 パソコンで音楽を聞くとき、「パソコンからイヤホン」というシンプルなシステムから、「パソコン→USBデジタル・アナログ変換機→オーディオ・アンプ→ヘッドフォンまたはスピーカー」という複雑なシステムまで、さまざまなパターンがあります。
 パソコンに直接イヤホンやヘッドフォンをつなぐ場合は、あまり気にすることはありませんが、オーディオの世界では大問題になることがあるのです。
 ちなみに、配線のことをケーブルやシールドと呼ばれますが、基本的には同じものです。
 シールドと呼ぶ場合は、ケーブルにシールド処理(外部からのノイズを遮断するための膜または導線)を行っているものを指します。
 そのため、ここでは統一してケーブルと呼ぶことにします。
 では、「ケーブルを変えると音が変わる」と良く言われますが、なぜ音が変わるのでしょうか?

ケーブルを通る音とは

 もちろん「ケーブルで音は変わらない」という人も多くいらっしゃいます。
 理由としては「抵抗やケーブルの性質は全く同じなのだから、ごく微細なもので無視できる」。
 または、「数値的にほとんど変わらないので、宣伝効果またはプラシーボ効果だ」、「人間の感覚は曖昧なものだから、錯覚の部分が多々ある」などです。
 しかし、実際に音は変わります。
 科学的に言うのであれば、機械で音楽を聞く場合、必ずアナログのデータに変換する必要があります。
 デジタルは点の集まりだとすると、アナログは波のようなものです。
 アナログはその性質上、外からのノイズを受けやすい、保存や複製の時に劣化が生じやすい、一度劣化してしまうと補正できないという弱点を持ちます。
 この弱点によって、たった一本のケーブルでもスピーカーから出て切る音が変化してしまうのです。

アナログの性質

 アナログとは、もともと「類似」や「相似」という意味です。
 音楽で言えば、「空気の振動である音」を「導線を流れる電流の波」に変化させているという意味です。
 導線を流れる電流は、様々な要因で外部の影響を受けます。たとえば気温、気圧、振動や磁場、外部の電波、そして電流が流れる素材など様々です。
 この変化は数値的にはとても微妙なものですが、ケーブルを流れる電流にとっては決して微妙なものではありません。
 なぜなら、電流とはとてつもなく小さな粒子の動きであり、その上、音楽という膨大なデータを抱えているからです。
 そのため、ケーブルは影響を受けないよう短く(一般的には3m以下)、しっかりと外部の影響を遮断する、電気を通しやすい素材であることが好ましいのです。
 それでは、いったいどんなケーブルを購入すればいいのでしょうか?

ケーブルでどれぐらい音が変わるのか

 ケーブルと一言に言っても、オーディオの世界では数え切れないほどの種類のケーブルがあります。
 高いものでは1本40万円もする(純銀製などの)ケーブルさえ存在します。
 しかし、そこまでケーブルにお金をかける必要があるか?という問題はなかなか問われません。
 本当のところ、基本的に短い配線で、パソコンやアンプ、スピーカーの内部配線より良いものであれば、電流に大きな変化はありません。
 良いケーブルであれば、音の品質はほどんど変わりません。
 ただし、素材や導線のタイプによって音色は変わります。
 音色がどれぐらい変わるかと言えば、ラーメンのトッピング程度に変化します。
 この音色というトッピングがなかなか曲者で、ニンニクラーメンとワカメラーメンでは全然味が違うように、全く違う音に聞こえてしまうのです。
 そのため、ケーブルでもオーディオを楽しむときは、まず素材(どんな銅線か、または銀なのか)と構造(撚線か単線か)を選んでから、必要であれば良いものを選ぶのが適切です。
 なぜなら、スピーカーなどの品質がケーブルより劣っていれば意味がないからです。

 

ケーブルよりも大切なこと

実際、ほとんどのオーディオ・ケーブルはいい音がします。
そのため、ケーブルは「接続するもの」ではなく「ひとつの機材」と考えることができます。
むしろ、いい音を妨げるのは、ケーブルよりも接続部分のほうとも言えるのです。
コンセント・プラグや接続端子が汚れていたり、埃が溜まっていると、いい音は期待できません。
CDに傷をつけないよう気を使ったり、レコードの埃を気にしたりすることが無くなりましたが、やはり、掃除したり綺麗にすることで、いい音が出てきます。
もちろん、それほど大きな変化は望めないかもしれません。
いい音が出てるような気になっているだけかもしれません。
でも、背筋をのばして、居住まいを直して音楽を聞くだけで、普段よりもぐっと音楽との距離が縮まったりします。
パソコンでいい音を楽しむために、まずは自分も変えてみる。
そんな音楽体験も、なかなか素敵ではないでしょうか。