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02月04日13時30分

パソコンでいい音を楽しむために(その5、スピーカーの話)

さて、5回にわたって連載してきた「パソコンでいい音を楽しむために」。今回はいよいよ「スピーカー」についてです。さて、音楽を聞くとき最も重要なのは、やはりスピーカーです。

スピーカーとは?

パソコンやCD、レコードが最後に到達して鳴る場所、それがスピーカーです。
 そのため、オーディオにとって最も重要であり、出てくる音質の70%以上を占めると言っても過言ではありません。
 では、スピーカーとはどういうものなのでしょうか?
 スピーカーとは、簡単に言えば空気を振動させて音を作り上げる、鼓膜と逆の仕組みを持った機器です。
 しかし、鼓膜とは違って機械であるため、低い音から高い音まで全てを再生できるわけではありません。
 例えば、一本のヴァイオリンがあったとして、そのヴァイオリン一台で全ての楽器を再現するのは不可能ですね。
 それと同じで、スピーカーを一発で全ての音を再現しきるのは、不可能なんです。
 「でも、スピーカーからは全ての音が出ているじゃないか」と言われるでしょう。
 その通りです。でも、正確に言うと以下の通りになります。
 「スピーカーからは全ての音が出ているのではなく、スピーカーからは全ての音を構成するための倍音が出ている」
 これだけ聞くと意味がわかりませんが、これはスピーカーの性質によるものなのです。

スピーカーの音について

 自然界に「純粋な音」というものはありません。
 自然な音は、たった1つの音に聞こえるようで、かなりの数の音を含んでいます。
 これを「倍音」と言い、ありとあらゆる楽器は、音の中にある「倍音」を増幅させることで大きな音を出すのです。
 よく、いい楽器の演奏を聞いたとき「深みのある音」などと言いますが、これは倍音のことで、よい楽器であればあるほど、より多くの倍音を増幅させます。
 これはスピーカーも同じで、よいスピーカーであればあるほど、多くの倍音を綺麗に再生することができるのです。
 そのため、私たちがスピーカーから低音や高音だと思って聞いているのは、音そのものと言うよりも、どちらかと言えば倍音の方なのです。

理想的なスピーカーとは

以上のように理想的なスピーカーとは、多くの倍音を含むことができるスピーカーです。 そして、究極のスピーカーとは低音から高音までの全てを再生できるスピーカーです。 ただし、楽器と同じように、このようなスピーカーは存在しません。 もちろん、それぞれに特化したスピーカーはあるので、それらを組み合わせる事はできます。 これをマルチ・チャンネルと言い、コンサートホールや劇場で使われるシステムです。 ただし、そうやってスピーカーを組み上げて自宅に入れ込もうとすると、かなりの高額になり、場合によっては、家まで改築する必要があります。 いきなり最高のシステムを組むことはできない私たち。 では、どんなスピーカーを選べばいいのでしょうか?

損をしないためのスピーカー選び

 かつて1970〜1980年代前半まで、オーディオ・ブームと呼ばれた時代がありました。
 様々なメーカーがこぞって技術を競い合い、様々な名作が生まれた時代で、今でも多くの製品が中古市場に流れています。
 およそ名作とされるスピーカーは、中古でもセット20〜40万円ぐらいの値段です。
 決して安い値段ではありませんが、趣味としては決して高額でもありません。
 なぜなら、綺麗に使っていれば数十年に渡って使用でき、買い替える必要もなく、中古で売る事もできるからです。
 主なメーカーとしては、映画館やコンサートホールにも使われるパワフルなサウンド、JBL。
 高級感溢れる外観がとても魅力的なTANNOY。
 数々の傑作を世に送り出した日本のDIATONE。
 軍事品から始まり、様々な劇場にも使われたALTECなどがあります。
 場合によってはリサイクル・ショップなどで格安で売られていることもありますが、中古品を選ぶ場合は、経年変化で音が悪くなっている場合もありますので、ちゃんと調整しているオーディオ店で選ぶほうが無難です。
 それに実際に聞き比べて、オーディオの醍醐味でもありますので、まずは店頭でチェックしてみてはいかがでしょうか。

新品のスピーカーの真実

では、一方で新品のスピーカーはどうなのでしょう。
 ワイヤレス接続ができるBluetoothスピーカーや、パソコンに直接つなげて使えるUSB接続スピーカーなど様々な製品がありますが、そのほとんどは値段相応の音であると言えます。
 近年発売される製品は90%以上が工場生産であるため、製品によるバラツキはありませんが、その分、音の良さにも限界があります。
 不思議なもので、工場生産のものより、職人がしっかり手作りしたもののほうが音がいいのです。
 しかし、現代そのようなスピーカーは非常に少ないのが現実。
 その上、工場生産のスピーカーは必ず飽きがくる上、中古品はどんどん値下がりしていくので、オーディオとしては一時しのぎでしかありません。
 ただ、デザインとしては素晴らしいものが多いので、インテリア感覚で選ぶのが最適だと言えるかもしれません。

オーディオはイメージ

どうやって音楽を聞くか、どういう音質で音楽を聞くかを選べる現代。
でも、いい音というものは結局「心地よさ」に尽きます。
どれほど良い音だとしても、自分の耳が受け付けなければ、心地よくありません。
そして、人間はやはり飽きますし、慣れてくる生き物。
だからこそ、スピーカーを選ぶとき、どうすれば一番損をしないか、どういう「聞き手」でいるかというイメージが一番大事かもしれませんね。