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01月16日12時50分

あなたのすぐ隣に潜むトラブル(住まい編③)

今回は、よくトラブルになりやすい、退去の際の原状回復についてお話しします。

原状回復とは

原状回復とは、借りたものを“原状”、つまり借り受けた当時の状態に戻すことです(“現状”とは意味が違いますのでご注意!)。
退去する場合、借り主側は、原状回復を行う必要があります。
ほとんどのケースでは、物件の賃貸借契約書に、「退去の際には原状回復を行うこと」という規定が置かれています。
仮にこのような規定がなかったり、もしくは口約束で借り受けた物件であったりしても、基本的には借り主側が原状回復を行わなければなりません。

原状の記録

貸し主と借り主との間に、“原状”についての食い違いがあるケースが少なからずあり、そういった場合にトラブルになってしまいます。
たとえば、入居時点で壁紙にキズが付いていたような場合、そのキズがある状態こそが“原状”なわけですから、退去の際にそれを補修する必要などありません。
まれに、自分で付けてしまったキズについて、「このキズは入居前から付いていたもので、俺が付けたものではない!」などと言い訳する借り主もいます。
しかしながら、多くの不動産業者は、自社が管理する物件の状況をきちんと記録し、キズや汚れがないかをチェックしていますので、そのような言い訳はなかなか通用しません。

通常損耗

ところで、“原状“といっても、完璧に元に戻すということは不可能ですし、もし完璧に戻さなければならなくなると、借り主に対する負担が大きくなりすぎます。そのため、一般的には、通常の使用により生じるキズ・汚れ等(これを「通常損耗」と呼んだりします。)については原状回復をしなくてもよい、とされています。
たとえば、
〇テレビ・冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ
〇壁に貼ったポスターの後
〇エアコン設置による壁のビス穴 などは通常損耗にあたります。

他方で、   
✕ペットが付けたキズ
✕タバコのヤニ・臭い(程度にもよります)
✕落書き
などは、通常損耗の範囲を超え、原状回復をしなければならないでしょう(上記の例は、国土交通省住宅局作成の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf を参考にしています。)。 

責任の所在

以前、マンションオーナーから、ある借り主が退去したところ、その部屋のフローリングや壁紙に大きなシミが何箇所もできていた、という相談を受けたことがあります。
その借り主は、「自然に浮き出てきたものだ」という言い訳をされていました。
もし、誰でも気になるほどの大きなシミが床や壁から何箇所も浮き出てくれば、すぐにその時点で家主に連絡しましょう。
放置したままにしていると、あなた自身が付けたシミだとみなされてしまう危険があります。

新シリーズ突入!

さて、今回で住まいのトラブルに関するお話は終わり、
次回からは、夫婦や家族に関するトラブルについてお話する予定です。

この連載の担当者は・・・

あなたのすぐ隣に潜むトラブル(住まい編③)
弁護士 矢吹保博
民事事件・家事事件・刑事事件など幅広く多様な事件を取り扱う傍ら、「株主の権利弁護団」に所属し、カルテル事件などに関する株主代表訴訟なども取り扱う。

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