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01月14日12時30分

パソコンでいい音を楽しむために(その2、ヘッドフォンからの話)

さて、前回「音楽データそのものを変えてみる」ということで、パソコンでいい音が聞けるというお話をさせて頂きました。そのため、普通であれば高音質の「音楽データ」を手に入れれるところを紹介するところですが、今回はなぜか「ヘッドフォン」からのお話です。

イヤホンとは違うヘッドフォン

この連載で「イヤホン」について書かせて頂いたことがあります。その時に紹介したイヤホンのほとんどは、バランスド・アーマチュア型、つまり補聴器型のイヤホンでありました。
一方、今回のテーマである「ヘッドフォン」のほとんどは、ダイナミック型、つまり一般的なスピーカーと変わらない構造であるため、イヤホンよりも音の広がりや、アーティストがまさにそこで演奏しているかのような音を体験することができます。
この音の広がりを「定位感」、まるで目の前で歌っているかのような実感を「音像」などと呼んだりしますが、mp3などの圧縮データでは最も聞こえなくなってしまうものです。

mp3では、人間が聞こえないとされる超高音と超低音はデータから除去されています。
しかし、私たちが普段の生活をしていると耳だけでは聞こえない世界は案外広がっており、例えば大型トラックが走る地響きや、飛行機が空をキーンと飛んで行く音などを自然と体感していたりします。
音楽も同じで、空気感として実感のある音と、データで鼓膜にだけ届く音とは情報量が全違うのです。
イヤホンは、音楽を情報として直接鼓膜に届けますが、ヘッドフォンそしてスピーカーは、空気を振動させることで、より音楽を体感できるのです。
体験するとわかりますが、優れた高音質データであれば、音楽が終わった静寂すら実感として体験できます。
これこそ、高音質のデータを楽しむ醍醐味であり、だからこそイヤホンではなく、ヘッドフォンでこそ聞くことをお勧めしたいのです。

密閉型と開放型のヘッドフォン

しかし、もともとヘッドフォンは、音楽を聞くために作られたというより、スピーカーで大きな音を鳴らせないような場所で、音を聞くために作られたものです。
例えば、アーティストの録音現場でCDにする時の音を聞きながら考えるプロデューサーや、大音量のクラブなどで音を選び続けるDJなど、どうしても聞いている音を外に出してはいけない、もしくは外からの音を聞きたくない人のためのものです。
そのため、最も多く生産されているヘッドフォンとは「密閉型」と呼ばれるもので、「音が漏れない」構造になっています。
でもちょっと考えてみてください、音が漏れない構造って簡単に「いい音」がするでしょうか?
例えば、密閉された狭い部屋でスピーカーを鳴らした時、なかなか「いい音だなぁ」という実感は湧かないはずです。
できれば、開放感のある適度に広い部屋で、スピーカーを聞きたいと思うはずです。
そこで登場したのが開放型ヘッドフォン、またはオープン・エアー型ヘッドフォンと呼ばれるもので、外からの音が聞こえたり、音が漏れたりしますが、より音楽の空気感を体験することができるものです。
もちろん、密閉型と呼ばれるヘッドフォンも、基本的にDJやレコーディング・エンジニアのために作られてきたため、決して悪い音がするわけではありません。
むしろ、最高の音を求める職人たちが、新たな技術を競い合いながら作り上げ、スピーカーとはひと味違う一級品を世に送り出してきました。
そこで今回は、あくまで高音質にこだわって作られた最高級ヘッドフォン達をいくつかご紹介したいと思います。

プロ御用達のモニター・ヘッドフォン、MDR-CD900ST

発売以来、ありとあらゆるレコーディング・スタジオに使われた、最も売れたヘッドフォンの一つである、SONYのMDR-CD900ST 録音現場で最も求められるフラットな音、そして個体差の少ない高音質と、どんな状況でも使える耐久性と安定性、未だに売れ続けているヘッドフォンの1つです。 一言で表現するとすれば、「シンプル・イズ・ベスト」。 何も足さない、何も引かない。 信頼性の高いヘッドフォンの入門としては最適の逸品です。 SONY MONITOR HEADPHONES MDR-CD900ST

ステレオなのにサラウンド、ウルトラゾーンのヘッドフォン

ドイツの職人気質がつまった素晴らしいメーカー、ウルトラゾーン。
広い価格帯で展開する製品には、音楽の空気感を最大限に演出する特許「S-Logic」の技術が使われており、ステレオなのにサラウンドと思えてしまうほど、臨場感にあふれる音を再現してくれます。
その中でもトップクラスの材質と技術で作られるEditionシリーズは非常にクオリティが高く、今もダイナミック型ヘッドフォンの最高峰と呼ばれており、聞いたものしか分からない音楽の醍醐味を堪能させてくれます。

ULTRASONE ウルトラゾーン 密閉ダイナミック型ヘッドフォン  EDITION 8エディション8 ゾネ ゾネホン EDITION8

唯一無二のサウンドSTAXのSR-507

ダイナミック型と呼ばれるスピーカーと同じタイプのヘッドフォンではなく、コンデンサー型という超高級マイクと同じタイプのヘッドフォンを作る日本のメーカー、それがSTAX。
特筆すべきは、その繊細な表現力。
包み込まれるような空気感と重厚なのに暖かみのある音は、絹のような滑らかさで「聞く」という快感を改めて教えてくれます。
一般的なヘッドフォンとは違い、別途専用のアンプが必要になりますが、それだけの大枚をはたいて買う価値のある傑作です。
独りでじっくりと音楽を楽しみたいとき、とても頼りになるヘッドフォンです。

 スタックス コンデンサーヘッドホン イヤースピーカー単品STAX SR-Lambda SR-507

31VNCjvAsTL._SL500_AA300_

STAX 真空管ドライバーユニット SRM-007tA  

究極のサウンド、AUDEZEのLCD-3

20万円を超える、最高級かつ最新技術のヘッドフォン、それがAUDEZEのLCD-3です。
音を鳴らす振動体を円錐形から平面にすることで、ヘッドフォンそのものを音響空間にしてしまう独自の技術と、正確な音のために選ばれた材質によって、今迄にない音の創造を可能にしました。
500gという重量級のヘッドフォンですが、しっかりと作られたイヤーパッドとヘッドバンドがその重さを分散させ、音楽そのものにとけ込める、最高の名に相応しいヘッドフォンです。

Audeze LCD-3 ヘッドホン AUD-0972 

気合いを入れて買うからこその、ヘッドフォン

電子機器の発達によって、ありとあらゆる機械の小型化が進められる現代、あえてサイズの変わらないヘッドフォンを選ぶということは、なかなかに決心がいるものです。
ですが、スピーカーほど大音量でなく、イヤホンほど小さな世界ではない、ヘッドフォンだからこそ聞ける音楽の環境というものがあります。
心ゆくまで音に浸る、そんな体験にこそ、気合いを入れて買うヘッドフォンを持つという、ステータスがあってもいいのではないでしょうか。